雁木戦法

雁木戦法

檜垣是安で有名な、雁木囲いは江戸時代では固い囲いでした。昔は玉を固める手法が発展していなかったのです。

相掛かりが多く、矢倉囲いも相手に飛先を交換されて組む事が多いでした。これでは固くなりません。 序盤早くから角道を止める7七銀からの囲いは昭和20年台後半です。6六歩と止める矢倉囲いはそれよりももっと最近です。 これらの矢倉囲いの手法が発展すると、相手の飛先を金1枚で守る雁木囲いは弱い囲いと変わりました。

そして、雁木囲いの4枚の形では攻撃力が不足です。結局1枚の金か銀が攻撃に参加します。それは囲いがより弱くなります。 現在では、先手なら6五歩を伸ばし銀を繰り出す戦型のみが残っています。ただしそれも少数派です。

雁木戦法・実戦譜

後手雁木:4五歩1


後手は袖飛車模様に進めて、先手の動きに合わせて雁木囲いから4五歩と角道を開けます。
先手は早囲い模様のため玉頭が弱く、対応が難しくなりました。その選択は攻め合いです。
猛攻も4四角成の局面が詰めろではなく、以下豊富な持駒で詰めろで迫った後手が押し切りました。

後手雁木:袖飛車


雁木囲いは、金銀4枚ですので、攻撃に入ると1枚か2枚は囲いからはずれます。
飛先を伸ばさずに、袖飛車模様にしたときは、それは53銀になります。
袖飛車戦法自体が、64銀との相性が良いのです。ただ。この2枚では攻撃は不足ですが、先手の守備の 遅れや迷いがあると、かなり押し気味になります。

相居飛車・玉頭盛上


後手が振飛車と極め撃ちで、先手が鳥刺し模様に進めました。
後手は居飛車に変更して、互いに玉頭に金銀を盛上りました。76銀とか66銀の形が多くなります
その過程で、雁木模様になる事が多いです、途中形です。互いに入玉を警戒し、逆に横からの攻撃に弱くなります。 玉頭の厚みは、生かせないと弱点になります。

相居飛車・力戦


雁木というのは囲いか戦型かは微妙です。
囲いとしては、金銀4枚ですので、攻撃に移るには普通は形を崩します。
従って、駒組過程の形で戦型と考えた方が判り易いです。ただ本局の様に5八金型にならない物も含めるかどうかは微妙です。
先手は雁木の形を想定していましたが、後手3六角から戦いになり、それは崩れました。以下力戦から泥試合になりました。

3手角対鎖鎌銀


雁木戦法は、端と相手の飛先が弱いです。
先手は、鎖鎌銀から2五銀として、3三桂を跳ねさせて弱い端を狙いました、速度を除けば破れています。
長所は、角の使用が速い事で3三角>5一角>8四角で以下仕掛けまで行きました。
先手の攻めは、雁木の仕掛けに速度で遅くなり、防御に追いやられました、対雁木の速度計算の間違いでした。

後手雁木:4五歩2


後手の雁木から4五歩が少し流行った頃がありました。
先手の流行に対応しての事ですが、後手の角道を通しての攻撃に対応する先手の陣形では普通の展開になります。
7八玉でがっしり受けられると、飛角桂だけでは攻めきれない、4五歩の伸びすぎと2筋の弱さを狙われやすい。
通常に言う1局ですが、後手は急がされています。