ひねり飛車戦法

ひねり飛車戦法

ひねり飛車戦法は、相居飛車から飛車を浮飛車にして、左辺に展開する戦法です。

古くは奇襲戦法と呼ばれましたが、縦歩取りの登場と共に流行になりました。
その流行の始めが「丸田流縦歩取り」です。縦歩取りは実際に歩を取りませんがそう呼ばれます。角道を空けた歩を浮飛車が寄って 取りに行き、金で守ると角道が止まり同時にひねり飛車側の飛が歩の上に移動します。

縦歩取り対策・丸田流対策で、角道を空ける事を遅らす事が多くなりましたが、先に飛を寄る戦法や飛を寄らないで進める戦法 も増えました。

ひねり飛車は対策が進むと最終的には、三間飛車石田流と類似形になりやすく次第に通常の振飛車と合流した感があります。
その過程は多様な戦法が続出します。そして、三間飛車石田流と類似と言ってもまだ好む人も多いです。

ひねり飛車戦法・実戦譜

丸田流縦歩取り1


後手が角道を空けないので先手は2六飛のままで駒組をします。
先手の持久戦指向と、1筋の手抜き+銀冠組み替えがまずく、後手に狙われました。
後手の棒金や9三桂は有力な対策です。先手は飛角が働かず金銀もバラバラで戦いが生じて不利になりました。

猫式縦歩取り:1


後手が角道を明けた歩を取ろうとするのが縦歩取りです。しかし本当の狙いは後手が飛先歩交換に対して7五歩と飛交換を狙うことにあります。
従って先手の飛が歩の上に移動するのが目的です。3四歩が突いていないのに3六飛とする形を、猫が鼠が巣から出て来るのを待つ のに似ているとして猫式と呼んだ人がいます。
後手の右の金の動きは棒金と呼ばれ、石田流対策で多い形です。左の金の動きは対ひねり飛車対策特有のものです。角道が糸の様に 進んできますので「升田流凧金」と呼ばれます。
2枚の金の防御は強く通常の石田流では簡単につぶされますので、先手も金銀が上部に出て対抗します。

猫式縦歩取り:2


猫式縦歩取りに丸田流を組み合わせた先手の形です。リスクのある序盤を過ぎてもまだ攻めが薄い形です。 ただ後手が、中盤に攻め急いだために、攻撃の手段を得ました。一時的には駒損でも、先手の駒が捌けた形は ごての飛側の駒が取り残されて、先手が有利になりました。

猫式縦歩取り:3


猫式縦歩取りに丸田流を組み合わせた先手に対して、3筋の位取りで金がうわずった後手は陣形が弱いです。 6−8筋が手薄で、受け切れませんでした。この後は、後手は堅い守備陣形を目指す様に次第に変わってゆきました。 その過程で、幾度か似た後手の試行錯誤がありました。

新縦歩取り1


先手の指し方は、リスクはあるものの不要な手は全て省きます。発展形ともいえます。後手の飛先歩交換に対して、 7七桂以下9七角から7五歩と2六飛のままで寄り道をしません。後手はオーソドックスな構えです。ただどうしても、 玉の守りが薄く、受け身になります。この基本形から次第に、3二金を4三に上がらず、6一金を7二ではなく5二金と 使う守りに変わってゆきます。縦に歩を取る気配もありませんが、組み上がった形が似ているので縦歩取りとか、ひねり飛車 に分類します。

新縦歩取り2


先手の指し方は、無理を通しています。後手は変化した事も多いですが、普通に応じてもよいとの考えもあります。 6一金を7二にあがるのは次第に減少します。その理由は、本局でも判ります。玉頭が弱くなるからです。 しかし、次第に、ひねり飛車や縦歩取りが減少する流れが、本局で見えています。2筋を2五歩とされた時に、2七歩と 受ける事になって来るからです。それでは最初に飛先の歩交換の意味がないです。ましてや、8七歩まで受けるとひねり 飛車自体が苦しいです。先手は2筋を受けずにがんばりますが、形がみだれました。後手がもし5二金から玉を固める 作戦ならば、もっと苦しいでしょう。それが、ひねり飛車減少の理由です。