角換り戦法

角換り戦法・三すくみ

角換り戦法と略していうのは、居飛車の飛先不交換型の角交換の戦法です。

この戦法には現代では、主流の戦法が3つあります。
腰掛銀・早繰銀・棒銀です。

腰掛銀は、右の銀を5筋の歩の上に上がる戦法です。相手の早繰銀に対して有効とされています。
早繰銀は右の銀を4筋の歩の上に上がる戦法で、次に3筋を狙います。相手の棒銀に対して有効とされています。
棒銀は、右の銀が飛先から進む戦法です。相手の腰掛銀に対して有効とされています。

角替り戦法の3すくみの中で、双方が同じ戦法を選ぶ場合と、あえて異なる戦法を選ぶ駆け引きがあります。
一番多かった相腰掛銀に対して、後手一手損戦法が登場して、急激に複雑化しています。

角換り戦法・実戦譜

相早繰銀1


双方が早繰銀を選ぶ事は急激に減少しています。
変化の余地が少なく、研究勝ちになりやすいからです。
同形の居玉で3筋と2筋の歩の交換を狙うと、王手飛車に掛かります。
従って居玉を避けるか、3筋の歩の交換のみ行うかの選択になります。
先手は居玉をさけました。後手は3筋(7筋)の歩の交換のみ行いました。
次に先手は3筋の歩交換を行いました。この時に2筋も交換しようとすると、後手3四歩・2四歩・3五歩・2三歩成・ 2七歩(7筋で入手)・同飛・4五角で後手有利です(注意・後手は居玉の時)。

筋違い角1


角替わりから先手が4五角から3四歩を取る戦法を「筋違い角」と呼びます。 筋違い角は色々な形で登場しますが、早い形で打たれかつ定跡化されているのがこの角替わりの戦型です。
後手の対策は定跡通りです。早い時期に5四歩とか4四銀で先手の角の使い方を片方に制限します。 本形は向飛車から4七角として8筋を狙います。後手の7二銀も5五銀から3三桂も定跡形です。 先手の7八金は6八金が多く5八玉は少ない形です。

棒銀1


角替わりから先手が棒銀で攻める戦型です。後手の対策は早繰銀が一番有効とされています。腰掛銀もあります。
この戦型での後手の受けは、1:1四歩と突いて2筋の銀交換を避ける、2:5四角打つです。 後手5四角に対しては、先手は1:3六歩から3七銀と立て直す、2:3八角から攻める(升田流)、3:2六飛から攻める (大友流)などです。本局は1:で後手は6四銀から7五歩と反撃を狙います。先手6七金右では、7六歩・同銀・同銀・同角・ 6五銀・3九銀・3八飛・5八角成・同飛・4八金・同飛・同銀成・同玉・2八飛・3八銀・2六飛成以下の定跡も知っている 必要があります。

右玉1


角替わりには相居飛車と振飛車の中間的な「右玉」という戦型があります。相居飛車の出だしから玉を右に囲います。 本局の先手はかなり変わった指し方ですが、プロでも指した棋士がいます。角交換はしない、相手の飛先を金で受ける。 相手の攻撃は一時的に止めますが玉はそちらに囲えません。そこで右玉になります。本局は一部を除くと中飛車的に進みますが 玉の端が弱くて、そこをねらわれてしまいました。

筋違い角2


後手の筋違い角です。先手の対応はやや古い5五歩で後手の角のにらみを片方に限定する指し方です。 後手は飛先を狙いますが、先手の対策は5六角の筋違い角です。これが微妙で反発した為に直ぐに終盤に突入しました。 後手の反発が無理でしたが、この形は攻め合いになりやすいです。

棒銀2


先手・棒銀対後手・早繰銀+5四角から、互いに飛先の銀歩を交換する急戦です。 同じ様な形になりましたが、後手が7筋の歩の交換を行っているのが効果的でした。 先手の対策が弱気で飛が閉じ込められて不利になってゆきました。