向飛車戦法

向飛車戦法

向飛車戦法を含めて、振飛車4大戦法と呼ばれます。しかし向飛車戦法は若干異なります。

攻撃の筋に飛を移動するという振飛車の定跡からは、向飛車戦法は居飛車が飛先を伸ばした時に良い位置になります。
居飛車が飛先を伸ばさない場合はかなり変則的な陣形になります。

一般の振飛車を目指すならば、居飛車の陣形で選択可能な向飛車戦法は他の振飛車と異なります。
そして、飛が向かい合う形は膠着状態になりやすく、消極的と言われました。

その結果、向飛車戦法は独自の攻撃性を含みに持つ戦法が多く現れました。
向飛車戦法は、戦型の性格が極端に別れる戦法になってゆきます。

向飛車戦法・実戦譜

居飛車・鳥刺し1


居飛車の戦型は独特です。角道を開けないで振飛車の角を狙います。鳥刺し戦法と言います。
元々、香落用に作られた作戦です。その後、左美濃と組み合わせた「飯島流引飛車」が登場します。 鳥刺しは、陣形が守備に弱く攻撃に強い特徴があります。

居飛車・棒銀1


先手の序盤の指し方に対して後手が飛先を突かなければ先手の中飛車が多いです。
飛先を突けば向飛車の選択があります。この戦型のポイントは、1:後手が6四歩を突くか?、 2:先手が6六歩と角道を止めるか?、3:先手が左金を7八か5八のどちらに上がるか? 4:後手がどの様な戦型を選ぶかです。本局は6四歩+6六歩+5八金+居飛車棒銀となりました。
この戦型は振飛車の位置によらず三間に振り戻す形が多いです。

居飛車・4五歩1


記録に残っている棋譜通りですが序盤に疑問があります(棋譜間違い?)。4六歩を突かずに6八玉は危険です。
以降の先手の銀の組み替えも手損、2筋継ぎ歩も疑問という事で急戦は失敗の様です。 後手が守勢の向飛車では、早くに4六歩を突くので、先手の急戦には4五歩と、3七銀からの棒銀があります。 4五歩急戦は、仕掛けが勝負なのでより高い精度が必要です。
持久戦の向飛車は三間飛車に対する4五歩急戦、あるいは四間飛車に対する棒銀に合流する傾向があります。

向飛車・穴熊1


先手・向飛車+穴熊対後手・位取り+棒銀です。 向飛車が、攻勢に出ないといずれは他の筋に振直す展開になりやすいです。 後手は一旦、角道を止めて位取り気味に指します。しかしその後は、棒銀に出ます。 結果的には変則的な棒銀になりました。大捌きの後の後手の4筋の歩の突き捨てに手抜き出来るかどうかが、焦点になりました。 先手は徹底的に穴熊を生かした手抜きの連続で寄せ切りました。

向飛車・大野流角交換


現代は角交換型の振飛車がプロでは主流です。しかし、その前は角交換は振飛車不利という考えが主流でした。 この変化には、居飛車穴熊の存在が大きな影響があります。実戦は3手目に96歩で先後が入れ替わっています。 大野流向飛車と呼ばれる形は、先手が76歩・34歩・56歩・88角成・同飛・57角と進める戦型です。 タイトル戦にも登場した大胆な戦型です。後手の馬と先手の持角の争いになります。難しいとされていました。 現在は後手が、馬付き穴熊に囲うと、先手が作戦負けになるとされています。

向飛車・升田流急戦


向飛車は受け身という考えが変わったのが、2二飛+3二金から2筋逆襲の升田流の登場からです。 先手居飛車に2五歩と突かせて、逆襲するので成功すれば効果は大きいです。 ただし必ずしも先手が2五歩と早くにつかない、飛交換がどちらが有利かが局面で微妙に変わるなどの難しさがあります。 本局は後手の6二銀の早囲いと、先手の5七銀左+4六歩の対抗が、成立の可否を決めます。 後手の囲いが弱く、やはり片美濃が最低必要だった様です。