三間飛車戦法

振飛車の4大代表的戦法・三間飛車戦法

振飛車戦法は歴史自体は古いです。しかし美濃囲いを中心にして近代振飛車は戦後の戦法です。

振飛車は、飛車の位置で「向飛車」「三間飛車」「四間飛車」「中飛車」があります。
「右四間飛車」「袖飛車」戦法は、玉の囲いを含めると別の分類になります。

振飛車は居飛車の飛先を角で受ける事からはじまります。それ以外は戦法としては趣が変わります。
振飛車戦法は、多くは居飛車の対応戦型で変わります。最初の飛車の位置も固定されたものではありません。

三間飛車は攻撃的とも言えます。しかし急戦定跡はひとつの大きな定跡となっています。
振飛車戦法は、居飛車の持久戦(左美濃・穴熊囲い)の進歩で大きく変貌しています。

三間飛車戦法・実戦譜

石田流持久戦1


先手が3手目に7五歩とすると石田流に殆どなります。それを居飛車が一度じっくり受けると持久戦模様になります。
一度収まった後で、居飛車棒金戦法が威力を発揮しました。振飛車の7七桂が早かった様です。

4五歩早仕掛1


三間飛車は4五歩早仕掛の歴史があります。数々の定跡があり現在もまだ指されています。
本局の居飛車はゆっくりした仕掛けであり、後手の不備を突くというより後手の囲いを進ませて 左翼を薄くする戦術です。決定的に問題なのは2五歩の継ぎ歩の攻めです。飛先が重く効果がありません。 仕掛け自体の失敗は玉形の差で居飛車が不利になります。

居飛車角道止1


先手が序盤に角道を止めると相振飛車模様になります。その時の後手は三間飛車が多いです。
先手はその時に、相振飛車を選ぶか居飛車を選ぶかの選択になります。後者の時は玉頭に勢力のある作戦になります。 それに応じて振飛車が穴熊に組むのも多いです。本局は振飛車が陣形がまとまらない内に動きすぎてバラバラになって しまいました。急戦の警戒が希薄でした。

居飛車棒銀


振飛車は通常は受けと手待ちを混ぜて陣形を組みます。多くは、片美濃>本美濃>高美濃>銀冠と移ります。はじめから 穴熊狙いは対急戦ではやや特殊です。ただ、受けに重点を置く駒組もあります。その場合は急戦に対応しやすいですが、駒組 の発展性にはやや難しさがあります。居飛車は、通常は急戦から持久戦に変わると作戦負けになりやすいですが、振飛車が受け 重視で陣形に発展性が弱い時は持久戦も選択のひとつになります。

石田流急戦1


相三間飛車模様からの先手石田流含みに対する後手の急戦です。その後は互いに牽制して半急戦になりかけましたが、飛交換 から一直線になりました。角交換から筋違い角を打ち合った時に、先手の3八金が妥協した手で持久戦模様になりました。 陣形組からは3八銀が勝負手でしょうが、3五歩のため難しいようです。力戦になってからは後手に無理があった様です。

升田式早石田1


新戦法の革命児・升田幸三が石田流急戦を改良した「升田式早石田」を持って名人戦の舞台に登場した前後は、この戦型 一色でした。居飛車の対策が進み減少したものの、現在もそれを下敷きにした戦型がいくつか登場しています。知らないと 間違わずに指す事が難しい戦型とも言えます。角交換から7七銀と上がる戦型は準急戦と呼ばれました。6七角は升田の指した 構想です。現在ではこの序盤は疑問がありますが、当時は多く指されていました。