横溝正史・サスペンス1
- 犬神家の一族
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昭和22年、信州・犬神佐兵衛(仲代達矢)は顧問弁護士・古館(中村敦夫)に遺言状を残し死に、7月後に金田一耕助(石坂浩二)は呼ばれ女中・はる(深田恭子)の案内で那須ホテルから犬神家の顧問弁護士助手・若林に連絡し、湖で船の野々宮珠世(松嶋菜々子)を猿蔵(永澤俊矢)と助け底に穴があり、那須ホテルの主人(三谷幸喜)の案内で客に会う前に死んでいた。
古館は等々力署長(加藤武)と耕助に会い、若林に変わり依頼し遺言状は9人揃うまで開封できず、犬神佐兵衛は正式な妻子がなく、松子・竹子・梅子という腹違いの3人の娘がいた。
犬神松子(富司純子)に犬神佐清(尾上菊之助)、犬神竹子(松坂慶子)に犬神佐武(葛山信吾)と小夜子(奥菜恵)、犬神梅子(萬田久子)に犬神佐智(池内万作)の子供がいて、犬神家に佐兵衛の大恩人の野々宮大式の孫娘・野々宮珠世がいた。
犬神寅之助(岸部一徳)・犬神幸吉(螢雪次朗)を含め、遺言状開封は佐清の復員を待ち、戦争で顔を負傷した佐清は仮面で現われ、遺言状の内容は犬神家の相続権・家宝の斧(よき)・琴・菊を、佐清・佐武・佐智の誰かとの結婚を条件に珠世に譲り、青沼菊乃と静馬にもゆく可能性があった。
佐武・佐智は大山神官(大滝秀治)の手形で佐清の確認を求め珠世も佐清の確認に積極的で、柏屋の九平(林家木久扇)・女房(中村玉緒)に客が来たが正体不明だった。
仙波刑事(尾藤イサオ)・古館らの連絡で耕助が駆けつけると、佐武が殺され首だけ菊人形とすげかえられ手形合わせが行われ、珠世のペンダントが現場で見つかり、佐武と佐清の事で話し襲われたが猿蔵に助けられたと言い、湖の反対側でボートが見つかり、柏屋で顔を隠した人物が2人と判り、藤崎鑑識課員(石倉三郎)は手形が一致と言った。
佐武の死体が見つかり凶器が2種類で、佐智が珠世を誘拐したが顔を隠した人物が助け、松子はお園(三條美紀)に金を渡し、耕助は犬神家が芥子で儲けたと知り、猿蔵は珠世の居場所を聞き、松子は琴の師匠(草笛光子)に習い、佐智は首に琴糸をつけ殺され屋根で見つかり、竹子は昔に3人が青沼菊乃と静馬に押しかけたと語った。
<以下、隠し字>
耕助は野々宮大式を調べ珠世は孫で、結婚を迫る松子に珠世は佐清でないと断り、佐清は松子に静馬だと言い企みを語った。
翌日湖で顔を斧で割られた死体が見つかり、耕助と珠世は手形の確認から別人で耕助は静馬と推測し、珠世の部屋に佐清が来て全てを殺したと言ったが、猿蔵が佐清を捕らえ警察に引き渡し、珠世は耕助に佐清の告白状を渡し佐清は間違わないと言った。
耕助は佐清に一人で出来ない犯行と言い、全てを語るのが犯人の救いと説得した。
耕助は松子に、佐清が容疑者で警察に逮捕と言い、松子が真犯人と言い全ての犯行手段を説明し、松子の佐武殺害を静馬と佐清が見て、以降は佐清は静馬に脅され犯行の後始末を行い、結局佐兵衛の望む事を行ったと語った。
佐清が松子に連れて来られ耕助は皆に説明し、松子は珠代と佐清の将来を頼み、毒で死んだ。
金田一耕助は皆に送られるのを避けて一人村を去った。
監督:市川崑
脚本:市川崑・日高真也・長田紀生
原作:横溝正史
出演者:石坂浩二・松嶋菜々子・尾上菊之助・富司純子・松坂慶子・萬田久子・葛山信吾・池内万作・永澤俊矢・奥菜恵・螢雪次朗・尾藤イサオ・中村玉緒・岸部一徳・三谷幸喜・深田恭子・林家木久扇・大滝秀治・中村敦夫・仲代達矢・加藤武・石倉三郎・三條美紀・草笛光子
製作年:2006年
感想:劇場公開版映画。
市川崑の遺作。
強引かつ雄大な見立て殺人でかつ、未必のXXのトリックを無理矢理納得させる。
時代か因習か、ある舞台ならなるかも知れない、偶然でもあるかもしれない。
麻薬のような作品だ。
134m
- 神隠し真珠郎
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本家当主・鵜藤宗太郎(神山繁)は本家長男・雄一(柄沢次郎)から三男・幸三(まるの保)が「真珠郎」と言い残したと聞き、分家長女・鵜藤由美(田中美里)と宗太郎の妾・西野千代(山口美也子)と幸三の妻・多賀子(犬飼このり)と出かけ、宗太郎の妻・ハツ(浅利香津代)と雄一の妻・峰子(那須佐代子)が見送った。
一同が駆けつけ幸三の首つり死体があり、由美は雄一の長男・誠司(小林且弥)が去るのを見た、金田一耕助(古谷一行)が本家次男・乙骨研二(勝村政信)と霧神村へ向かい犯人逮捕を頼まれ、鵜藤家は温泉での花栽培で儲け自分は酷い扱いを受けたと言い、途中で老婆が氏神の祟りで去れと言った。
研二は由美に金田一を紹介し、千代が宗太郎を襲おうとし20年前に真珠郎(山崎勝之)を殺したと言い、研二は宗太郎らに金田一を紹介し家族構成を渡し自分か由美か女中・かず子(上杉二美)に聞くように言った。
真珠郎は3歳で霧神に神隠しに遭い目が青く金髪で、金田一は由美と現場の池に行き螢を見つけ、池で金田一は志村巡査(遠山俊也)に間違われ河合警部(谷啓)に助けられ利権争いで全員が怪しく評判が悪く、真珠郎らしい人影と雄一の死体を見つけた。
由美は雄一に誘われ真珠郎に会ったと言い、河合は遺産相続を考え金田一は水螢は洞窟に棲息すると知り誰かのマントに付いたと洞窟を探し、宗太郎と鵜藤家下男(市原清彦)を追い由美の母・鵜藤美代子(泉晶子)に襲われ宗太郎の弟で分家・鵜藤宗次郎(曽我廼家文童)の家で由美の父で流れ者に子供が2人殺され寂れたと聞いた。
研二は遺産は自分の物になると言い、金田一は洞窟を見つけ穴を空けた全員の写真を見つけ、そこで真珠郎が誰かに育てられていたと知った。
<以下、隠し字>
金田一と由美は誠司が研二を殺そうとするのを見、由美の助けの声と真珠郎を見かけ、研二の死体を発見し、池で由美の着物を見つけたが遺体は無かった。
金田一は真珠郎に誰かがなり代わっていると考え、洞窟に行き盛土から真珠郎の遺体を見つけ死後1週間で、美代子に会い家族を襲ったのが宗太郎かと聞き、洞窟に犯人を追い由美にもう止めようと言った。
由美は一家の本家による被害と、真珠郎の誘拐と復讐の植え付けを話し、父の指示で本家に入り、幸三殺害後に真珠郎は兄の思い出を取り戻し自害し、以降は由美は殺しを続けるしか無かったと言った。
脚本:石原武龍
監督:山本厚
原作:横溝正史
出演者:古谷一行・谷啓・神山繁・田中美里・山口美也子・浅利香津代・勝村政信・山崎勝之・遠山俊也・泉晶子・
製作年:2005年
感想: 名探偵・金田一耕助シリーズ第32作。
復讐はむなしい。
幻想の世界の事件は、色々なもののバランスを崩す。
それは、理解を超えた世界であり、金田一の世界ではなさそう。
- トランプ台上の首
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昭和36年、金田一耕助(古谷一行)は奇術師・風間隼人(三浦浩一)と紅マヤ(古手川祐子)の写真を取り、楽屋でシルク(ボナ植木)やハット(パルト小石)に団長・寿代(高畑淳子)が声を掛け、金田一は風間とマヤにファンだと言い、マヤは金田一に奇術のテストをしてレッスンの成果が出たと言った。
寺で服部巡査(野添義弘)が日兆(出光秀一郎)が穴を掘り頭蓋骨を見つけるのを見て河合警部(谷啓)と山下刑事(小林健)と丸山刑事(渡辺寛二)が来て、黒猫亭の猫をマスター・糸島礼次郎(石山葎雄)が埋めたと言い、金田一からの手紙が有った。
金田一は糸島繁子からの浮気調査依頼の断り手紙と言い河合は首が繁子と考え、バーの店員は夫婦の仲は悪くマスターに女が紅魔術団にいると言い、マヤは別れたと言った。 元従業員・君はマダムの化粧箱に松田花子の殺人手配書で繁子と考え、頭蓋骨の歯の鑑定で煙草は吸わず繁子でないと判り、防空壕から死体が見つかり礼次郎で死は4月前でマヤが確認し礼次郎との関係を話し、繁子が押しかけ別れていた。
頭蓋骨と繁子は不一致が確認され金田一は日兆を疑い、君が日兆と繁子の逢い引きを見ており、日兆の首つり死体が見つかり、金田一は花子の捜査官から養父を殺したが陵辱されていたと聞き、旅回り奇術師・東兵衛から花子が父の奇術師の血を受け継いでいたと聞き似顔絵からは不明だがマヤと似ていた。
<以下、隠し字>
刑事は寿代からマヤの経歴を聞き、金田一は風間から夢を叶える相手だと聞き、シルクらからマヤの瞬間移動の影武者・桑野千代子(田村友里)を聞き、実家で母・キクから戻ってないと聞き歯医者・園田を訪ね頭蓋骨の歯と一致した。
金田一は花子がマヤと知り、マヤに尋ねると風間は礼次郎と千代子との仲を言い千代子に退団を言い、花子と繁子との外地生活を言い時効が疑問で、マヤの切断奇術が2人ではなく3人で行われていると知り、逆の1人2役と気づいた。
金田一はマヤを松田花子と呼び、別人として帰り糸島繁子(古手川祐子)となり誰もマヤとの双方を知らなく同一人物の証拠の歯形を示し、興行師・糸島礼次郎の脅迫と金の為に2役を演じ、新しい脅迫者・日兆が現れ次に千代子が脅迫し殺意が生まれた
脚本:峯尾基三
監督:吉田啓一郎
原作:横溝正史
出演者:古谷一行・谷啓・三浦浩一・古手川祐子・高畑淳子・野添義弘・出光秀一郎・小林健・渡辺寛二・石山葎雄・田村友里・
製作年:2000年
感想: 名探偵・金田一耕助シリーズ第28作。
「黒猫亭事件」と「トランプ台上の首」が原作。
写真の無い人物を挟む、白骨死体の謎。
頭の白骨では定番の人物特定だ。
- 水神村伝説殺人事件
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岡山県水神村、秋月善太郎(西沢利明)がダム建設反対で姿を消した。
10年後、作家・横尾康之(大和田伸也)が県知事に当選し、公営事業縮小で水神ダム建設に反対し秘書の長女・秋月凛子(田中美奈子)と訪れ、次男・本位田慎吉(石橋保)が建設意見を言うが母・秋月貞子(泉晶子)と次男・幸二が見て、当主・本位田大三郎(大林丈史)も建設を言うが中止になった。
大三郎が死亡し、依頼を受けた金田一耕助(古谷一行)が来て河合警部(谷啓)と宮村巡査(尾美としのり)と会い長女・本位田鶴代(坂口良子)の依頼で来たと言った。
慎吉の婚約者・本位田梨枝(佐藤友紀)に声をかけ鶴代は慎吉に父は殺されたと言い、大三郎の母・本位田槇子(宮内順子)は祝言は3日後といった。
河合は大三郎は自殺というが、鶴代は金田一に自殺でないと示して欲しいと依頼し、金田一は河原で見つけた義眼を尋ね、鶴代の弟・本位田大助(檀臣幸)の噂を聞いた。
金田一は本位田と秋月の仲が悪い理由を聞き、本位田大助と秋月吾一がそっくりと知り、金田一と河合と宮村は善太郎殺人現場で凛子に会い死体は見つかっていなく、凛子から本位田一家の事を聞きダム工事で水質が変わったと聞いた。
金田一は裏水神神社で槇子に祟ると言われ鶴代が伝説を語り、本位田にマスクの男が現れ槇子は大助と呼び、金田一は鹿蔵(二瓶鮫一)に生きていたか聞き、槇子は急に大助と梨枝の祝言と社長就任を言った。
女中・お杉(岸本鮎佳)は金田一に梨枝は家の借金で何も言えず、鶴代は大助は本位田は守れないと言い、貞子が大助に吾一の事を尋ね、鶴代は金田一に大助は偽かも知れなく復讐だと言い、凛子はアメリカの写真を見せ以降連絡がないと言った。
<以下、隠し字>
お杉は水神神社に手形を取りに行き崖から転落死し絵馬が消え、吾一の絵馬を見つけたが、槇子が大助と梨枝の籍を入れ、夜に梨枝が殺され大助が消えた。
大助が刺され遺体で墓で発見され絵馬から吾一でなく、金田一は義眼を見つけ、河合は慎吉を疑うがアリバイがあり、凛子を呼び出しなぜ善太郎の死体が見つからないのか疑問で金田一は裏水神神社を疑い古井戸を調べ骨を見つけ、車の助手席に血痕を見つけた。
金田一は皆を集め、劣る兄・大助が善太郎を殺し井戸に投げ入れたが大三郎は認めず大助をアメリカに送り事故に遭ったが日本に戻り大三郎に会い拒否され殺し、慎吉が自殺に偽装し、大助が梨枝殺害後に慎吉を殺す為に工事現場に向かい殺害を謀るが鹿蔵が大助を殺した。
脚本:石原武龍
監督:山本厚
原作:横溝正史
出演者:古谷一行・谷啓・西沢利明・大和田伸也・田中美奈子・石橋保・泉晶子・大林丈史・尾美としのり・坂口良子・宮内順子・
製作年:2002年
感想: 名探偵・金田一耕助シリーズ第29作。
原作は「車井戸は何故軋る」。
村の両家の長年の対立の裏にかくされた別の対立。
世代の若返りが救いだ。