横溝正史・サスペンス3
- 本陣殺人事件
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昭和23年初春、備中高瀬の本陣で一柳賢蔵(佐藤慶)と久保克子(真木洋子)の婚儀が行われ、克子の叔父・久保銀造(内藤武敏)と金田一耕助(古谷一行)と弟・一柳三郎(荻島真一)らが参列し、母・一柳糸子(淡島千景)は妹・一柳鈴子(西崎みどり)に琴を弾かせた。
かね(野村昭子)が金田一と来て、鈴子が金田一に猫が化けるか尋ね、三郎はアメリカの探偵の事を聞き、賢蔵と克子が挨拶に回ると三本指の男から手紙を預かったと渡された。叔父・一柳伊兵衛(北村英三)が銀造に結婚に反対と言い、賢蔵と克子と糸子は雪の中を離れに行き、銀造は賢蔵が大学教授で中学教師の克子に惚れたと言い、糸子が克子に一柳家の事を話し母屋に戻った。
深夜、金田一が奇妙な音を聞き皆が離れに行くと閉まっており、壊して入るが雪に足跡がなく戸は閉まり、庭に廻ると奥に刀が刺さり水車小屋の修吉が来て、入ると賢蔵と克子が死んでいた。
警察に連絡し、金田一は糸が切れた琴と血の指跡を見つけ密室殺人と思い木に刺さった鎌を見つけ、日和勇警部(長門勇)らが来たが密室報告に不満で、三郎が挨拶に来て三本指の男がばしば目撃され犯人と言い、日和は破れた三本指の男の手紙を復元した。
日和と三郎が書斎に行くと金田一が膨大な探偵小説の蔵書を感心し、生涯の仇敵と書かれた写真を見せ、金田一は現場が立ち入り禁止だと言い、鈴子が銀造に猫の墓を見せ、糸子は刀が15年前の事件のものと喜平に言った。
県警本部長(菅貫太郎)らが捜査会議を行い、日和は外部侵入を言うが本部長が金田一を紹介し協力を言い、三本指の男がまた現れたと知らせがあった。
金田一(古谷一行)は三本指の男の存在に疑問だったが鈴子の猫の墓付近で下男と鈴子(西崎みどり)が見たと言い日和(長門勇)らが調べ、指紋が見つかるが金田一は納得せず、戸の節のくりぬきを見つけ刀・琴路・鎌等が不思議だった。
三郎(荻島真一)が賢蔵(佐藤慶)の日記を見つけ一部が切り抜かれ日和は学生時代に三角関係が有ったと推定し、山狩りをした。
克子(真木洋子)の同僚・白木静子(松村康世)が日和に克子の手紙を見せ賢蔵に田谷との過ちを打ち明けたと書かれ、金田一は水車小屋で使用の詳細を聞き、賢蔵は三郎に多額の保険を掛けていた。
金田一は三本指の男が久野村の男と聞き道筋を辿り、山田刑事(金井進二)に山狩りの様子を聞き久野村での調査を頼み、伊兵衛(北村英三)は克子が一柳に相応しくないと言い三郎と対立し、伊兵衛と糸子の仲は知られていた。
金田一は鈴子から琴糸と琴路を借り離れと水車小屋で調べ始め、三郎にソア橋事件の事を言い炭焼き小屋を見つけ、三本指の男が久野村の清水京吉(草野大悟)と判るが殺されている可能性が高いと考えた。
明け方に琴の音で皆が離れに行くと三郎が三本指の男にやられたと倒れ・・。
三郎(荻島真一)は日和(長門勇)に三本指の男にやられたと言うが周囲に痕跡はなく、金田一(古谷一行)は三郎の服に泥を見つけ鈴子(西崎みどり)に猫の墓が掘られていたと言い調べると三本指の手が見つかりスタンプと言い三郎の狂言と言った。
<以下、隠し字>
金田一は賢蔵(佐藤慶)が克子(真木洋子)を殺し自殺したと言い、糸を使ったトリックを実施し水車小屋を回すと現場が再現され密室を解明した。
金田一は、銀造(内藤武敏)と糸子(淡島千景)に学生時代の過ちを打ち明けたが賢蔵の潔癖性が許せなかったと言い、三郎と賢蔵は糸子と伊兵衛(北村英三)との関係をしり裏切られ、賢蔵が克子にも裏切られ殺したと言い、金田一は炭焼き小屋の持主から窯入れ時に匂いがしたと聞き死体を見つけ清水(草野大悟)で自然死と金田一は考えた。
三郎が金田一に賢蔵の計画を前日に知ったが命を狙われ協力を頼まれたと言った。
脚本:安部徹郎
監督:蔵原惟繕
感想: 原作は「本陣殺人事件」。
金田一が有名になり、原作の探偵捜しはどれも採用しない。
プロローグの叙述は別の作品では使われた事があるが少数派だ。
雪の偶然性を語っていない気がします。
- 悪魔が来りて笛を吹く
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昭和22年1月15日天銀堂で集団毒殺宝石強盗発生と金田一耕助(古谷一行)が聞いた。
椿秋子(草笛光子)とフルートを吹く夫・椿英輔(江原真二郎)に娘・椿美禰子(檀ふみ)が警察が来ていると言った。
日和勇警部(長門勇)は元伯爵・玉虫君丸(加藤嘉)と菊江(中山麻里)と秋子の兄の元子爵・新宮利彦(長門裕之)とその妻・華子(岩崎加根子)と息子・一彦(星正人)と乳母・信乃(原泉)と女中・お種(白石幸子)と下働き・三島東太郎(沖雅也)に子爵のアリバイを聞くが、毒殺事件の投書があり英輔は須磨・三春苑に行っていたと述べた。
英輔は美禰子に屋敷の者しか判らない事が書かれ、悪魔がいると言い、その後失踪し自殺で発見され、金田一は美禰子から遺書を見せられ母が父が生きて復讐に来ると言った。
椿家で目賀(観世栄夫)が砂占いが行われ火焔太鼓の模様が出て、フルートが聞こえレコードで・・。
玉虫伯爵が占い室で殺害され金田一と日和が来て密室だが金田一が紐で鍵を閉め、雷神像が見つかり、防空壕でフルートと宝石が見つかり等々力刑事(早川保)に捜査させ、新宮利彦が背中の痣を悪魔の紋章と言った。
美禰子は金田一に英輔の遺書が天銀堂事件で疑われる前と判り、金田一と出川刑事(森次晃嗣)ともう1人が須磨に行き三春苑・女将(三崎千恵子)から玉虫伯爵の別荘が近くにあり秋子と新宮利彦が来ていたらしく、英輔が暗くスミ(児島美ゆき)から玉虫伯爵の別荘後に立っていたと聞き燈籠に「悪魔ここに誕生す」と書かれていた。
金田一は女将から1月16日に明石に行っただろうと聞き、淡路の妙海尼が誰かに殺され、燈籠の文字が消され、金田一らが淡路に向かうと殺されており、慈道(吉田義夫)は妙海尼の本名が駒子で娘・冴子がいて父は新宮利彦で娘は死んでいた。
東京で温室からフルートが聞こえ、新宮利彦が殺害され、金田一はそれを聞いた。
金田一は東京に戻り日和から風神像で殴られ絞殺され、現場に秋子の指輪が見つかり、誰にも殺害可能で、妙海尼殺害と関係を考え、目賀が絞殺死体が見つかった。
日和は英輔の密告状は英文タイプライターで書かれていて、美禰子のものと似ていたがyとzを打ち間違え、美禰子はドイツ製には逆の機械もあると言い、父が近親結婚を嫌っていたと言った。
英輔に似ている者として飯尾豊三郎が上がり、殺害され顔が潰さたが飯尾らしかった。
金田一は出川から調査報告を聞き、秋子は三島東太郎の着替えに悪魔の紋章とつぶやいたと美禰子から聞き、金田一は皆を集め秋子の後に三島がいて正面に鏡があり、皆と等々力刑事を占い部屋に集めた。
<以下、隠し字>
金田一は風神と雷神との取り替えと像の底の紋章のスタンプを見せ、犯人が交換に来て玉虫伯爵と出会い突発殺害し、新宮が皆を外出させ秋子に金を求め、犯人は飯尾を操り妙海尼を殺害させた。
三島に着替えさすと悪魔の紋章の痣があり、金田一は川村春男だと言い、三島は痣を証拠に新宮に現れ息子と名乗り美禰子を妹と呼びたいと言い、出生の秘密を知った時は駒子の娘・冴子を愛し子供が出来た後だったが三島と兄妹で、知った冴子は自殺した。
三島はフルートを吹くが失った2本の指を使わないでも演奏出来、服毒して死んだ、そして・・・・・・・・・・・。
脚本:石森史郎
監督:鈴木英夫
感想: 乱れた旧家の末路を描く。
強引な背景設定や、共犯や小刻みなトリック。
フルート曲のイメージと悪魔の紋章のイメージの強さが目立つ。
- 真珠郎
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昭和23年城北大学で講師・椎名肇(原田大二郎)は講師・乙骨三四郎(中山仁)に不思議な雲を告げ幻影だと言われ、休暇を取り旅に行き、隠遁した生物学者・鵜藤(岡田英次)と姪・鵜藤由美(大谷直子)を訪ね、金田一耕助(古谷一行)と出会った。
鳥越湖畔行きバスで老婆(小林加奈枝)が行くなと忠告し、金田一は降りて追った、椎名と乙骨は着き由美が迎え遊郭跡で鵜藤は半身不随だった、金田一は和尚・了潤(加藤嘉)の寺に泊まり、椎名と乙骨は蔵に誰かがいると考え、由美は蔵に花魁の無理心中した部屋と案内した、夜に庭に光る服の男・真珠郎(早川絵美)を見た。
数日後に浅間山が爆発し、椎名と乙骨は物見台で真珠郎と鵜藤と由美の争いを見て、消えた鵜藤を探し、老婆は逃げ水の淵の洞窟と告げ、椎名と由美は船で調べ、金田一は日和勇警部(長門勇)と駆けつけた。
椎名と由美は島に行くと乙骨が気を失い鵜藤らしき首のない死体が有り、老婆が首を川に投げ、金田一と日和が来て調べた。
金田一と日和は調べ死体は川に流され、椎名と由美は乙骨を家に連れた、由美は乙骨と抱き合った、由美は金田一と日和と椎名と乙骨を蔵に連れ「20年閉じ込められた真珠郎が逃げた」「鵜藤は真珠郎を殺人鬼に育てた」「鵜藤は恩師の妻・愛子を誘惑し、咎められた世間を恨んだ」と告げた。
鵜藤の観察日記は破られ、了潤は鵜藤の爺や・音蔵(藤原釜足)を見つけ、音蔵は「鵜藤は少女と男を連れ、結婚させて蔵で暮らし子が産まれ真珠郎を名付け、夫婦が連れ去られた」「鵜藤は真珠郎を養育した」と告げた。
金田一は残り、椎名は由美に思いを残し帰京した、乙骨と由美は東京に引っ越し、ある夜に椎名は真珠郎を見かけ、乙骨と会い、由美と会うと「真珠郎を見た」と新聞の写真を見せられた。
日和は愛子は昨年死んだと知り、金田一は結婚した椎名に「事件は椎名の性格が原因だ」と伝言した、ある日に椎名は乙骨と由美の家に泊まり、夜に部屋から由美の悲鳴が聞こえ、後に乙骨が倒れていた、椎名は雪の中で由美らしい首なし死体を見つけた。
日和は椎名を聴取し手の痣を調べ、首なしの意味を悩み、金田一は「椎名の善意の性格が問題」「真珠郎は3-4年に死に骨で見つかった」と告げ、椎名は乙骨から真珠郎を見たと聞き、アパートに行き乙骨の死体を見つけた。
金田一は椎名と鳥越湖畔へ行き「乙骨は由美から財産を奪うが消えた」と告げ、日和は真珠郎の存在を疑い、金田一は「椎名は何時も目撃者で真珠郎を犯人に見せかけた」「乙骨が真珠郎を操った」、宇兵衛から「真珠郎の父・古畑三郎に娘・稲子がいて、左手に痣がある」と聞いた。
<以下、隠し字>
金田一は真犯人は由美と告げ、椎名は老婆の小屋に行き、「最初の老婆は由美で、次は稲子が連れ、最後は毎冬小屋に来るが死んだ」「由美は老婆になりすまし小屋に来る」と考えた。
椎名は老婆に会い、由美は変装を脱ぎ「全て知られ」「人殺しだ」と告げた、椎名は由美に本心を問うと告白する手紙を渡された、由美は湖に船で逃げ金田一と日和と椎名は追い、由美は毒を飲み花を積んだ船で倒れた。
「由美は鵜藤と暮らし性格が変わり、鵜藤は育てた青年が死に埋め由美を殺人鬼にした」「由美は稲子に出会い、真珠郎に仕立てて鵜藤殺害を図り」「由美は乙骨と組み、乙骨は稲子を操り、首なし殺人計画をたてた」「由美は目撃者が必要で椎名を使ったが恋した」「乙骨は椎名殺害を狙い、由美に殺された」。
脚本:安藤日出男
監督:大洲齊
感想:
- 不死蝶
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昭和30年、日和勇警部(長門勇)は金田一耕助(古谷一行)を訪ね信州・射水の矢部杢衛(小沢栄太郎)からの依頼を伝えた。
途中で金田一はスポーツカーに乗る鮎川マリ(竹下景子)を見かけ記者・田代(山本紀彦)が迎え、古林徹三(松山照夫)も同時に着き、田代は鮎川マリのインタビューに行くと言い、金田一は玉造康雄(江木俊夫)と矢部都(栗田ひろみ)が23年前の事件はいやと言うのを見た。
古林がマリの先生・河野朝子(松村康世)に声を掛け、金田一は矢部家で杢衛と息子・慎一郎(山本昌平)とその妻・峯子(岩崎加根子)に会い、23年前に殺害の息子弟・英二の調査を頼まれ、番頭・宮田文蔵(植木等)と都が戻り私立探偵が来たと聞いた。
康雄がマリを訪ね翌日のパーティ中止を言い23年前の事件を話し、金田一は文蔵と杢衛からマリと玉造知子との関係を調べ、23年前の英二殺害容疑者と言い、事件の発端は玉造と矢部の抗争と慎一郎の知子への思いと言った。
マリが矢部家にパーティ出欠を聞きに来て、翌日金田一は日和が射水に来て調査依頼し、古林は玉造と矢部の抗争が嫌いで杢衛も玉造の女性を好きになったと言った。
パーティへ杢衛と都と金田一が行き、金田一は日和からマリの身元が詳細不明で、マリが甦る蝶を話し母・君江は具合が悪いと言い、神崎署長(浜田寅彦)が取りなすが河野に母を呼ばせ、康雄は都に東京行き延期と言い君江が鍾乳洞に行くのを見たと言った。
マリは君江が夢遊病の発作を起こしたと言い、皆で鍾乳洞へ行き足跡と人影があり、底なし井戸で杢衛が死んでいた。
日和らが来るが、神崎は入り口が3つと言い、神父に聞き日和は古林を聴取し呼ぶれた手紙を見せたが杢衛に知らないと言われ、鮎川君江を見て玉造知子と思ったと言った。
慎一郎は金田一に杢衛殺害犯人捜査を依頼し、金田一はマリに会い怪我の康雄が側にいて話しを聞き知子は伯母と言い、日和と金田一は神父から古林と出会った様子を聞き、普段から洞窟を使用しマリにも教えたと言い、古林はわざと見つかった様と言った。
金田一は23年前の事件の調書を調べ、日和はマリから君江の出身地は知らずブラジル大使館を通しての質問を求め、金田一は宮田から慎一郎と峯子の事を聞き宮田の工場を見たが、古林は宮田が得をしたと言った。
金田一は日和に君江は現れないだろうと言い、神父らが君江を教会で目撃したと言い、金田一はマリに伝えると驚き、翌日日和らが鍾乳洞の捜査を行い、金田一は慎一郎から古林は23年前に洞窟の前で英二に会ってないと聞いた。
金田一は鍾乳洞の日和に古林を探しに行き、宮田から古林が女に殺されたと聞いた。
警察が古林殺人容疑で宮田を同行したと峯子と都が聞き、金田一は神父に君江は度々来たが最近は来ずマリはたまに別に来ると聞き君江のハンカチを預かり鑑識に頼み、都に宮田は釈放されると言い康雄に鍾乳洞の前で君江を見た証言を聞き、マリに協力する気になったと知った。
<以下、隠し字>
金田一はマリにハンカチを渡し、君江との1人2役を言い君江=知子は23年前に神父に助けられてブラジルに行き大地主と一緒になり、少し前に死に養女のマリが君江の無実を晴らす為に河野と戻り康雄と出会ったと言った。
金田一はマリに犯人に証拠がなく逮捕協力を頼み、宮田が釈放され河野がマリから金田一宛ての手紙を渡し、康雄と都が東京に発ち、峯子が金田一に手紙を渡し「教会の君江は真犯人で証拠を見つけ鍾乳洞の井戸に呼び出す」内容で、鍾乳洞でマリが襲われ、金田一と日和は峯子の死体と宮田を見つけ、罠と知った宮田は井戸に飛込み自殺した。
金田一はマリに真実は惨いと言い、23年前にアリバイがないのが古林と峯子で、英二が知子に会い揉め古林と峯子が英二を殺し、杢衛は井戸で揉める古林と峯子に会い殺され、峯子は教会で君江に変装し古林を殺害し、宮田は全てを知り妹・峯子を殺害した。
宮田は都を人殺しの娘にしない為で、慎一郎が金田一に呼ばれて来てマリに康雄と都をブラジルに連れ託し、マリに知子の面影を見た。
脚本:野上龍雄・米田いずみ
監督:森一生
感想: 原作は「不死蝶」。
横溝らしいモチーフが生きている。
過去の因習と、証拠の不足はいつもの事だが、残った者に救いはある。