ケイゾク

概要・登場人物

・迷宮入りした事件を担当する警視庁捜査一課弐係(「ケイゾク」)
東大卒のキャリア警察官僚・柴田純(中谷美紀):頭脳明晰・方向音痴・高所恐怖症・口癖「私、犯人が分かっちゃいました」
元公安の叩き上げ刑事・真山徹(渡部篤郎):朝倉を追う。
警部・捜査一課弐係係長・野々村光太郎(竜雷太):若い愛人有り
巡査・捜査一課弐係の刑事・近藤昭男(徳井優):ダンスレッスン中
巡査部長・捜査一課弐係の刑事・谷口剛(長江英和)


・捜査一課
捜査一課一係の庶務・木戸彩(鈴木紗理奈):元特殊班
警部補・通称「タンツボ」・元公安所属・壺坂邦男(泉谷しげる)
捜査一課一係の刑事で早乙女管理官の腰巾着・林田誠一(矢島健一)
キャリア組の管理官・捜査一課のトップ・早乙女仁(野口五郎)


・SWEEP(特殊捜査班)
公安時代の真山の部下・斑目重友(村井克行)


真山の妹を輪姦した少年たちのリーダー・朝倉裕人(高木将大)
世田谷区役所勤務・大沢麻衣子(西尾まり):柴田の友人
真山の妹・真山沙織(多田亜沙美)
弐係に依頼者を案内する婦警・今井夏紀(峯村リエ・今井夏木)


脚本:西荻弓絵
製作年:1999年

第1話「死者からの電話」

建前で未解決事件の捜査を「継続」する捜査一課弐係に研修中のキャリア柴田純(中谷美紀)が配属された。
弐係に1年前の「四日市市会社員殺人事件」で殺された被害者・多田(温水洋一)から電話を受けたという相談があった。
電話を受けた男・志村(村松利史)から多田と会う時に付き添って欲しいと依頼され、柴田と先輩刑事の真山は同席した。
結局、多田は現れなかったが、柴田は真山と共に多田が殺された事件に興味を持つ。
全国に指名手配中容疑者・太田浩二(大河内浩)の妻・慶子(秋吉久美子)に会う。
東京と四日市を2時間で結ぶアリバイに挑む。


感想:よくあるトリックとストーリーだが、レギュラーの紹介を兼ねて無難と言える。

第2話:氷の死刑台人

元警備員の橋本(桜金造)が、13年前の府中の殺人事件の再捜査を依頼する。
事件は橋本が無人の冷凍倉庫を閉め、また開けたときに宗教団体「氷剣教」の宗教衣を着てドライアイスの祭壇に載せられた社長・水谷(でんでん)が死体で発見という密室と、その時間に水谷のアリバイがある事だった。
柴田と真山は橋本を連れて、倉庫内の検証に乗り出すが、柴田の不注意で3人とも倉庫の中に閉じ込められてしまう。
何とか倉庫から出ることができ、橋本は倉庫勤務の頃から旧知の心臓外科医・下平(光石研)の診察を受ける。
だが柴田はその時の些細な会話から、下平を事件の真犯人だと断定する。
柴田は最初に密室の謎を、次にアリバイを崩す。
真山は、朝倉裕人と大沢麻衣子の後姿を見つめる。


感想:真山の過去の妹事件が登場する。
事件は犯人と計画の偶然性がかみあわない。

第3話:盗聴された殺人

近藤昭男が同窓会に行くと部屋は空だったが、電話で確かめて再度行くと皆がいた。
1年前のブティックオーナー強盗殺人事件の被害者の妻・竹下美奈子(松田美由紀)が真犯人は元従業員の森川祐子(MIKI)だと言い捜査一課弐係に来た、そして証拠がなければ祐子宅を盗聴して欲しいと言った。
皆は違法捜査を断るが、柴田の推理で可能性があるので違法ながらも盗聴と張込みを始め、美奈子にも細部を説明した。
盗聴中にアパートの一番奥の祐子の部屋から異常音が聞こえ、駆けつけると殺害されていた。
丁度出会った祐子の恋人の成田(山口馬木也)を逮捕したが容疑を否認し、祐子を訪ねた時には部屋は空だったと言った。
柴田は盗聴音と床のコーヒー跡からトリックを見抜く。


感想:ミステリではお馴染みのトリックでやや苦しい。
しかし、解決にも利用する所が工夫だろう。

第4話:泊まると必ず死ぬ部屋

老舗の旅館「葉隠月(はかつき)」の仲居・成合佐代子(銀粉蝶)から、改築工事に伴い、泊まると必ず死ぬといわれ昭和21年までに4人の死者がでた離れの部屋の調査依頼に来た、親戚が泊まって調べるからだと言う。
ひとり興味のある柴田は嫌がる真山と「葉隠月」に行き木戸も後から来た。
旅館に集った関係者から成合孝(川岡大次郎)の提案で、トランプで泊まる者を決め、旅館主人の娘の朋美(池田昌子)が部屋に泊まり、他は麻雀等で別の部屋で待っていた。
真夜中過ぎに朋美が姿を消し、部屋には血痕があり目貼り密室の様であり、旅館付近で遺体で見つかった。
柴田は部屋からの抜け道を見つけ、毒付き仕掛け針が必ず死ぬ部屋の原因と知ったが、時間の経過で毒は効果が消えていた。
柴田は自分が間違って持ち出したトランプから犯人を見つけだした。
真山は、事情を知らず計画して予想外の結果に呆然となる計画者を指摘した。


感想:密室は古典的だが、推理の小道具と、どんでん返し的要素が多い事が面白くしている。

第5話:未来が見える男

柴田は、占いを信じて2日間出会いを探すが見つからなく、係長に送られた途中で壊れたネオンを見た。
青井ゆかり(筒井真理子)という女性が夫・義朗(山上賢治)失踪事件の進展の抗議にきた。
対応に怒ったゆかりは超能力番組に出演し、霊能力者の鷺沼聖(大沢樹生)に捜査を依頼し、透視で鷺沼は義朗の姿が見えると言いテレビクルーと共にスタジオから出た。
鷺沼がいうビルの10階へ向かい、2階に義朗がいると言いそこで死体が見つかった。
殺害部屋は密室で、鷺沼はビデオで撮影されており、透視で犯人を指摘した。
柴田は、修理されたネオンと唯一開く窓と、被害者のコートから真相に気づいた。
真山の近辺に妖しい事が・・・。


感想:古典的密室だが、証拠が上手に使われている。その回の事件以外の人物が登場し始める。

第6話:史上最悪の爆弾魔

定年間近の警部補「タンツボ」こと壺坂が時効成立1週間前の小包爆弾爆破事件の捜査協力を依頼してきた。
当時校内暴力が多い中学で女学生が自殺?し、いじめを受けていた化学教師・河合秀樹(日野陽仁)は退職していた。
厳しく対応した教師・森田功作(平尾良樹)に卒業生・白砂竜太(佐藤裕)の名前でステーキ肉の小包が贈られてきて、事務職員・赤羽さくら(宮崎美子)が貰って帰った。
赤羽の婚約者・富川桂一(秋吉信人)が開けて、中の爆弾で死亡した。
柴田は壺坂と合流し、嫌がる真山を入れて事件の捜査を進めた。
柴田は事件の女子高生自殺事件に着目して、その事件の真相究明するが証拠が無かった。犯人の自供を得る為にある事をおこなった。
朝倉・麻衣子が動き始めた。


感想:これも古典的なトリックだが、映像的な解決方法がある。やや、パターン化している。
ただ、ちょっと変わった話と結末になっていて、シリーズの異色と言える。

第7話:死を呼ぶ呪いの油絵

捜査一課弐係へ、6年前に殺害された画廊のオーナー・山田重雄(若松武史)の遺族の菜穂子(髙田万由子)がきて、画廊に絵柄が勝手に変わり、見た者は死ぬと言われる絵があり最近変わったと雇い人・藤田滋(大方斐紗子)が見たといった。
画廊を訪れた柴田と真山に、菜穂子の叔父の平良文弘(半海一晃)が「絵が変わった」と言って姿を消した。
柴田は絵柄が変わった子供の絵を目て、平良からの電話を受け真山と菜穂子と画廊の倉庫のある海岸行き、水死体を発見した。
柴田は空の筈の自分の水筒にティーがあり、昨日真山が誤って飲んだものが塩水と気づいた。
犯人はトリックを暴かれ、自殺した。


感想:古典的なアリバイトリックと、絵が変わる叙述トリックの組み合わせだ。
伏線があり、無難な内容だろう。

第8話:さらば、美しき殺人鬼

被疑者が自殺したショックで柴田は辞表を出し、麻衣子の家にいた。
柴田は見つけに来た彩と、麻衣子が参加する電子掲示板のオフ会に参加した。
柴田は酔って記憶を無くし、ラブホテルで目覚め、殺された原(片山雄介)を見つけた。
密室状態で、柴田の犯行と見え麻衣子に連絡して逃げるが、捜査一課と早乙女はSWEEPに追わせた。
ハンドルネームの掲示板で、柴田は死にたいと書いた仲間にプレゼントを贈ると書くハンドルネーム「ピエロ」に目星をつけるが殺されていた。
柴田は犯人とトリックを気づくが、ショックな結果だった。


感想:まだ、広がりつつあるネットオンライングループが懐かしい。
そこでの、オフ会とハンドルネームをトリックに使用している。
複数のトリックずくしを解くが、犯人を操る裏の真犯人の存在に気づき、辞表を撤回する。

第9話:過去が未来に復讐する

柴田は、麻衣子の死にショックを受けるが納得しない。
麻衣子は誰かに操られていたと思う柴田は犯人捜しを開始した。
朝倉から、麻衣子が柴田と朝倉の関係に悩んでおり、ノイローゼ状態と聞いた。
柴田は、麻衣子の担当医・小田正子(森口瑤子)に話を聞き、間接的に殺人に繋がる暗示は可能と聞く。
朝倉のパソコンにハッキングした柴田は、朝倉が真山を監視していたと知った。
早乙女は真山の動きに対してSWEEPに監視させるが、真山は逃げて朝倉を追った。
木戸彩は、SWEEPで早乙女から真山監視のスパイで送り込まれていた。
SWEEPが動く中で、柴田は野々村から真山と朝倉の7年前の事件を知った。
真山の妹を襲って死に追い込んだ中のひとりの目黒(長谷川朝晴)に会った真山は、逆に妹のせいと言われ、主犯は朝倉と聞く。
目黒は病院で毒殺され、そこに真山がいて殺人犯としてSWEEPに追われた。


感想: この回から連続で真山と朝倉の対決になり、柴田を含めた多くの人物が関わる。
少しずつ、本当の姿が明らかになるが全て伏線があった訳ではない。

第10話:二つの眼球

真山は朝倉が全員を殺したと思うが、何故か朝倉を殺せ無かった。
野々村・谷口・近藤は、真山を助けるために有給を取って調べ始めた。
早乙女は止めるが、柴田は早乙女が真山を殺したがっていると言った。
はずされた柴田に木戸彩は、SWEEP無線を貸して真山とSWEEPを追った。
真山を、・SWEEP・野々村と谷口と近藤・柴田と木戸の3組が追った。
真山は柴田に、朝倉の呼び出しを依頼した。
しかし、真山は谷口に襲われて重傷になり、逆襲した所を野々村に目撃されて誤解された。
柴田も、襲われて重傷で病院に運び込まれたが、壺坂が訪れて「自分の目で確かめろ」と言われ、木戸を含めた3人は捜査の為に逃亡した。
SWEEPは、壺坂の車を襲い壺坂は死ぬが、柴田と木戸は別の車で逃げていた。


感想: 9話の続編で、11話に続く。
真山以外の人物も排除しようとする動きが次第に、明らかになって来る。
謎は混乱するが、真相を推測するには材料はまだ不足だ。

第11話:死の味のキス

早乙女は斑目が柴田を逃がしたと怒り、壺坂が邪魔と言った。
柴田は2課に戻り7年前の事件を調べて、真山と朝倉の関係を調べて、真山が朝倉の成人を待ったと考え、目黒も麻衣子も谷口も暗示にかけられたと思った。
野々村は隠していた捜査ファイルを見せて、朝倉が犯人ならば柴田を狙うと言った。
彩は柴田を逃がし、斑目と対決するが殺された。
真山と朝倉は対決するが朝倉は本物で無かった。
真山は「自分が死ねば全て終わる」と言い、柴田は「真実を見つけるのが仕事」と答えた。
早乙女は斑目に柴田殺害を命じたが、野々村は早乙女の指紋が変わっている事を見つけた。
真山は発見され、早乙女・斑目・柴田の4人がにらみあったが、真山は撃たれ柴田は早乙女に自首を勧めたが逆に撃たれた。
真山は実弾で撃たれておらず早乙女を撃ち、重傷の柴田とキスをした。
野々村達は、後日にまた早乙女の指紋が変わっている事に気づいた。


感想: 9-11はひとつの話で、前の回でいくつかの伏線がある。
とりあえずの真実にたどりつくが、まだ事件が完全に終わったかどうかは不明だ。

特別篇:「死を契約する呪いの樹」

朝倉は、新しい人生を向かうとつぶやき、彩は柴田と真山の記録を残すと言った。
警察病院では、彩と壺坂が生きていたが柴田は一命を取り留めたが眠り続けていた。
8ヶ月後に眼を覚ましたが、脳に損傷を負った後遺症で警視庁登庁以後の記憶を失っており、真山は朝倉から「ゲーム再開」の宣戦布告を受けた。
捜査一課弐係に京大での遠山金太郎(生瀬勝久)が柴田の後に加わり、調書から犯人が分かるというが間違いだった。
その後に八王子西署署長となった柴田は配属初日、伏舟神社の呪いの木の噂を女学生から聞いた、そして自らを痴漢した男を交番に連行し、そこで人を殺したと自首した女子高生・高成美咲(木内晶子)と出会った。
美咲は「伏舟神社の殺したい名前を書けが相手は必ず死ぬという「呪いの樹」に金子岳志(吉田メタル)の名前を書き死んだ」といった。
柴田は樹の写真を撮りに行き新聞記者・中田英二(手塚とおる)に会った、捜査一課弐係に相談に行くと他の2名も皆死んでいた。
柴田はひとり以外は事故で、殺人を隠す為と思った。
高成の教師・竹内久美子(伊藤奈穂)が殺され、遠山は高成を疑うがアリバイがあった。神社の社の中に高成の死体が見つかり密室状態で自殺と思えたが、柴田は簡単にその謎を解いた。
残していた写真を1課が調べたがメッセージは無かったが、新聞記事を使った罠をしかけ全員捕らえたが犯人は分からなかった。
柴田は、写真の1枚から犯人を知り3つは事故で竹内久美子のみ殺人と指摘し、動機や共犯も示した。
柴田は犯人を逮捕したが、朝倉の事は憶えておらず襲われ、助けた真山が刺された。
血まみれの柴田は全てを思い出した。


感想: 2倍の時間のスペシャルであり、伏線も多くトリックも大がかりだ。
推理は飛躍しているが一応まとまっている。
ただ、まだ多くの謎を残した状態で終わった。
遠山金太郎の登場理由は不明。

劇場版:「ケイゾク:Beautiful_Dreamer」

警視庁捜査一課弐係野々村係長(竜雷太)の定年退職直前に八王子西署署長・柴田純(中谷美紀)が赴任してきて、降格になった野々村は退職金の減額に悩んだ。
15年前に沈没した第七神竜丸の7人の生存者のひとりという磯山早苗(津田延代)と娘・章子(大河内奈々子)が、死亡した霧島夫妻の娘・七海(小雪)からの厄神島への招待状を持ってきた。
霧島夫妻の死は殺人の疑いがあり弐係扱いになっており、厄神島は小笠原諸島の南にあり原因不明の遭難事故が多く、島自体が消える伝説もある孤島だった。
不安な章子の依頼で、柴田と警部補・真山徹(渡部篤郎)が同行したが早苗が病気で章子ひとりで、長谷川裕子(片桐はいり)・瀧山吉弘(田口トモロヲ)・喜多一尋(酒井敏也)・栗原宏悦(大川浩樹)・内藤亜希雄(三角八朗)が同行で船長・仁平智(野添義弘)も当時と同じだった。
島には城のような家で霧島七海が迎えたが、両親の死の真相を求め連続殺人を予告した。七海のカードの予告から始まり、殺害が始まったが死体が消えて島中を捜した。
捜索から戻った所、各人から何か1つ部屋から消えていた、ドレッサーや窓から見えた島や部屋までも消えた。
死者が増え、最後に首を吊った七海とダイイングメッセージが残された。
柴田は、全ての謎を解いて犯人に真相を告げた。
<以下、隠し字> 火山島の厄神島に磁場が発生し、ふたりの前に死者たちが蘇り、柴田は父親が真山は妹・沙織(多田亜沙美)や宿敵の朝倉祐人(高木将太)や木戸彩(鈴木紗理奈)・斑目重友(村井克行)・先輩刑事・壺坂邦男(泉谷しげる)に再会した。
そして2人は消えた島から逃れ漂流した・・・。


監督:堤幸彦
脚本:西荻弓絵
出演者:中谷美紀・渡部篤郎・竜雷太・大河内奈々子・小雪・多田亜沙美・高木将太・泉谷しげる
制作年:2000年


感想: テレビ版の1話事の捜査事件と、後半の朝倉絡みの異次元の世界を重ね合わせた内容です。
何回の孤島の事件は、大がかり過ぎて真相は分かり易いが面白く出来ています。
その後の異次元の世界は、テレビ版ともやや異なり奇妙で不可解な内容に思えます。

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