「薄桜記」

キャスト

丹下典膳(山本耕史)
長尾千春(柴本幸)
堀部安兵衛(高橋和也)
丹下ぬひ(檀ふみ)
後藤七左衛門(徳井優)
長尾権兵衛(辰巳琢郎)
お菊(かとうかず子)
長尾龍之進(忍成修吾)
千坂兵部(草刈正雄)
吉良上野介(長塚京三)
堀部弥兵衛(津川雅彦)

スタッフ

原作:五味康佑
脚本:ジェームス三木

第1回「密通」

夜桜見物の旗本剣豪・丹下典膳(山本耕史)は、石段から落ちた上杉家家老の娘・千春(柴本幸)を抱き止め助けた、典膳の母・ぬひ(檀ふみ)も側にいた。
名前も告げず別れた。
吉良上野介(長塚京三)から長尾権兵衛(辰巳琢郎)に千春と丹下典膳の縁談があった。
掘内道場に中山安兵衛(高橋和也)が入門に来たが全く駄目だが、典膳は入門を許した。
後藤七左衛門(徳井優)が丹下家に来て典膳に縁談の話をした、相手は上杉家家老・長尾権兵衛の娘だった。
付人・瀬川三之丞(石垣佑磨)は千春に、恋しい気持を残念がり、丹下典膳と千春は結婚したが千春は夜桜見物で出会ったと語った。
母・ぬひも驚くが夜桜見物は母の計らいだと言ったが、ぬひは病がちだった。
典膳が江戸城の出仕から戻ると、瀬川三之丞が長尾家から贈り物を持って来た。
典膳は2年の大坂勤番の命がでて離れ離れになるが、長尾権兵衛は出世と言い、兄の長尾龍之進(忍成修吾)は剣術を求め、典膳は2年後にと答えた。
典膳は千春に、本当は別れるのはつらいと言い、旅立った。
典膳の留守中に、掘内道場の同輩が訪れて中山安兵衛を使い走りと紹介した。
江戸に火事が起きその中で、千春は元付人・瀬川三之丞に無理に手込めにされた。

第2回「汚名」

大坂勤番中の丹下典膳(山本耕史)が江戸に戻る事になった。
勤番頭に元に妻・千春(柴本幸)が不義密通の噂が届いたのだ。
千春は瀬川三之丞(石垣佑磨)を立ち入り禁止としたが、長尾権兵衛(辰巳琢郎)とお菊(かとうかず子)は疑問だが三之丞は答えなかった。
千春は三之丞に、丹下家と長尾家のために国へ帰れと命じ、掘内道場でも噂が出ていた。
丹下ぬひ(檀ふみ)は千春に火事の日の事を訪ね、中山安兵衛(高橋和也)も様子を見に来た。
千春がぬひに留守中の事は全て話すと言っていると、ぬひが倒れて卒中だった
江戸に戻った典膳は、千春からぬひの病と、しばらく後に重い話を聞くと言った。
典膳は長尾家で当主に会えず、千坂兵部(草刈正雄)から三之丞を国に返したと言われ、千春は典膳に全てを話した。
典膳は自害覚悟の千春のために離縁は仕方ないが千春をさらし者にしない方法を考えていて死ぬなと言った、母・ぬひが亡くなり、通夜にキツネが現れ典膳は家に取り憑いたためと退治した。
典膳の機転で千春の汚名は形の上は晴らされた。
典膳は長尾家に離縁を申し出、千春は自分のせいと言うが、逆上した千春の兄・龍之進(忍成修吾)に斬りつけられた。

第3回「口封じ」

丹下典膳(山本耕史)は、上杉家家老・千坂兵部(草刈正雄)宅に運び込まれた、長尾龍之進(忍成修吾)に左腕を斬られた典膳を運び出す所を千坂兵部に止められ、左腕を切除されたのだ。
千坂兵部は全て黙って欲しいと頼み、龍之進は勘当して長尾権兵衛(辰巳琢郎)に典膳に謝るように言い、吉良上野介(長塚京三)に話すと言った。
長尾権兵衛は典膳に、龍之進を謝り千春(柴本幸)を引き取ると言うが、千春は奉公人として丹下家にとどまりたいと言い、長尾権兵衛は謝った。
丹下家に典膳と千春が戻るが、後藤七左衛門(徳井優)が訪れ上杉家から偽りの報告があり、掘内道場では事情をいぶかり、典膳は片腕で刀を使う事をはじめた。
評定所から目付が来て、家禄の召し上げと断絶を言い渡され、典膳は受け止め中山安兵衛(高橋和也)が会いに来た。
千春は長尾家・上杉家は無視で丹下家のみの処置が不満だが、典膳は千坂兵部との約束と答えた。
掘内道場では典膳の行く末を相談し、中山安兵衛は隣の長屋をすすめた。
千坂兵部が典膳を訪ねて来て、千春を長尾家に帰すが妻を二度と取らぬといった。

第4回「高田馬場」

長尾家では、お菊(かとうかず子)を千春(柴本幸)が看病し、あらわれた龍之進(忍成修吾)を責めた。
六軒長屋に中山安兵衛(高橋和也)が浪人となった丹下典膳(山本耕史)を連れていき、長屋の娘・お豊(藤本泉)が典膳の身の世話をして、長屋の住人と打ち解けた。
安兵衛は筆を内職で作っており、典膳は当面は読書と剣術と言い安兵衛に稽古をつけて貰うが、安兵衛には典膳が両手で構えている様に見えた。
典膳は安兵衛の身の上を聞き、翌日に身元引受人が訪れた。
長尾家では、お菊が千春に龍之進(忍成修吾)が廃嫡を願い出たと悩んでいた。
千春が典膳の長屋を訪れ、黙って着物を置いて帰り、典膳は安兵衛に住まいを教えたのかと問い安兵衛はそうだと言うが、心の中まで入るなと典膳は言った。
典膳は片手の剣術に励み、安兵衛が高田馬場へ村上兄弟との決闘の助太刀に向かったという知らせが入った。
安兵衛は両刀で、多数の相手を全て倒したが叔父は亡くなり、安兵衛は牢に入れられたが、噂は江戸中に広まり安兵衛は賞賛をうけた。
掘内道場では、同一人物か疑っていて師範代は腕を隠して入門したと怒っていたが、典膳はたとえ死罪でも死に花だと言った。

第5回「豪商紀文」

六軒長屋で供養があり、お豊が奉公に去り、カメが代わりに丹下典膳(山本耕史)の面倒を見る様になったと思ったが、お豊は身売りしたのだった。
中山安兵衛(高橋和也)が咎めなしに戻り、典膳から掘内道場の師範代が怒っていると聞いていると、豪商・紀伊国屋の番頭が会いたいと挨拶した。
豪商・紀伊国屋文左衛門(江守徹)が舟遊びで会いたいと言って来た。
典膳が母の命日に墓参りに行くと、千春(柴本幸)が先に来ていてしばし話し合った。
安兵衛が舟遊びから戻り、翌日に長屋に赤穂浅野家家臣・堀部弥兵衛(津川雅彦)が来訪し、安兵衛に堀部家の養子になるよう懇願した。
仕官の誘いは多数あり上杉家から千坂兵部(草刈正雄)の屋敷に翌日おもむいた。
長尾龍之進(忍成修吾)が千春に、千坂家に中山安兵衛が来ているのは典膳の差し金かと聞くが、千春は謀り事はしないと答えた。
紀伊国屋文左衛門が武道の極意を聞くと、典膳は極意はないあれば相手がその対策をすると答え、文左衛門は新手を考えるのは商いの極意と同じと答え、世の中には道理にあわない嘘がまかり通っていると言った。
堀部弥兵衛が再訪して増石して重臣の養子になる条件と言うが、安兵衛は中山家を継ぐ必要があると言った。
典膳は安兵衛に剣を生かすべきと言い、安兵衛は浅野家に決めた。

第6回「用心棒」

剣の稽古をしていた丹下典膳(山本耕史)に、三人の侍が因縁を付けたが逆に峰打ちで倒し自ら奉行所に行ったが、千春の兄・長尾龍之進(忍成修吾)が見ていて一部始終を奉行所に申し出て、他にも多くの誓願状が集まった。
牢の中で白竿屋長兵衛(高嶋政伸)から話かけられ、手下の喧嘩の身代わりと言った。
典膳は無罪となり相手の報復を避けるため後藤七左衛門(徳井優)に預けとなった。
中山安兵衛(高橋和也)は堀部弥兵衛(津川雅彦)の娘・お香と祝言し、堀部安兵衛(高橋和也)となった。
紀伊国屋文左衛門(江守徹)が典膳を呼び前祝宴の礼・脇差しを返し典膳は脇差しは無用と答え、文左衛門は異国交易の総元締めとして誘うが断り、宴で蛹太夫と会いそれはお豊だった。
典膳は後藤七左衛門の屋敷を出て白竿屋長兵衛を訪ねて、長兵衛の妹・お三(ともさかりえ)が身の廻りを見る、白竿屋の裏看板の用心棒になった。
日本橋で大火事が起きて吉良上野介(長塚京三)は上杉家に逃れた。
堀部安兵衛も白竿屋一家も火消しに出かけた。

第7回「殿中刃傷」

母・丹下ぬひの命日に千春(柴本幸)の前に、お三(ともさかりえ)が現れて丹下典膳(山本耕史)は用事でこれないと言ったが伝える事はないとの返事だった。
白竿屋の用心棒として縄張り荒らし・権現与太郎の背中の刺青を皮1枚斬った典膳に相手は震え上がった。
後で谷中に行った典膳は折鶴を見かけ、帰宅後お三に折鶴を頼んだ。
長尾権兵衛(辰巳琢郎)は千春に吉良家別邸から呼び出しがあり、千春は吉良正室・富子(萬田久子)から吉良邸の奥女中へ上がる事を頼まれた。
白竿屋長兵衛(高嶋政伸)が、お三の事を典膳に聞くと、剣客ゆえ身辺を軽くしておきたいと答えた。
吉良上野介(長塚京三)の命で千坂兵部(草刈正雄)から千春に浅野家江戸家老との再婚の話しが来て、富子は千春に武家の娘は結婚で子を産めば立場が変わると述べた。
白竿屋の用心棒の典膳に、堀部安兵衛(高橋和也)がやって来て千春に浅野家家臣との再婚が決まったと言うが、典膳は冷静に聞いた。
5ヶ月後、谷中墓地で千春と再会した典膳は、千春を祝福し最後の別れを伝えた。
江戸城の松の廊下で、浅野内匠頭(春日俊彰)が吉良上野介(長塚京三)を切りつける事件が起きて、長尾権兵衛は堀部弥兵衛(津川雅彦)から去り、龍之進(忍成修吾)と千春に浅野家の断絶を伝え、千春の縁談は無くなった。

第8回「両成敗」

江戸城での刃傷で、浅野内匠頭は切腹し遺恨とされたが吉良上野介(長塚京三)は濡れ衣だが、赤穂浅野家は取り潰しとなった。
丹下典膳(山本耕史)は殺す気のない乱心と考えた。
浅野大学は蟄居になり、城明け渡しになった。
吉良上野介は、世間と浅野家家臣から恨みをかい、高家筆頭の辞去と隠居を上杉家が決めて富子(萬田久子)から勧め、千春は千坂兵部(草刈正雄)からの使いで丹下典膳(山本耕史)に会って訪問を願うが浪人ゆえ無縁と答えられた。
長尾権兵衛(辰巳琢郎)は千坂兵部に苦情を言うが浅野家は家老・大石が動き出したと言った。
堀部安兵衛(高橋和也)が掘内道場を訪れ、再興の力添えを頼んだ。
後藤七左衛門(徳井優)は典膳に、浅野家の意見が割れていて、強硬派は堀部父子と言い、長尾龍之進(忍成修吾)が赤穂開城と、幕府からは隠居と屋敷替えが命じられた。
千春が再度来て、丹下典膳に千坂兵部から吉良家の警護の役を再度望まれた、見舞いと断るため千坂の屋敷に出向くが病のため亡くなっており、長尾龍之進が遺書を持ってきた。
典膳は龍之進に、浅野内匠頭は遺恨か乱心かと聞き、龍之進が腕を切ったのは遺恨か乱心かと聞き、乱心の答えにわだかみは晴れたと答えた。

第9回「文鳥」

吉良上野介(長塚京三)は屋敷替えを行い、長尾権兵衛(辰巳琢郎)らの警護の強化の進言を無視した。
丹下典膳(山本耕史)は、お三(ともさかりえ)らに別れを告げたがどこに行くかははっきり言わなく、世話になりはなしは心苦しいと述べた。
丹下典膳は、白竿屋長兵衛(高嶋政伸)らに見送られ、向かいの駕篭で吉良上野介の警護役として本所の吉良邸に入り、吉良上野介は臆病と言われたくないので当面は客分とし、典膳は寝所に近い部屋に収まり、剣の稽古は見始め部屋中・深夜の闘い方を述べ家臣と実地で見本を見せた。
上野介の妻・富子(萬田久子)は、吉良上野介が来るのを嫌っていると言い千春(柴本幸)にどうかと聞いた。
吉良家の家臣が上野介の警護を話あうが、典膳は家名を守るため当主・吉良義周を守るのが大事と述べて、反発を受けるが上野介からは理解された。
典膳は暗闇での守りの有利さと、相手を知る方法を伝えていった。
谷中の墓参りで千春に再会した典膳は、気持ちを判っているが今はなすべきことがあると告げ、つがいの文鳥のひなを連れ帰った典膳にの元吉良上野介が来た。
長尾権兵衛(辰巳琢郎)は千春を典膳に嫁がせる話をした。
典膳を吉良上野介が、妻が来たと伝え富子と千春に会い、吉良上野介は帳尻を合わせ婚儀は不要といい、典膳は千春に離さないと言った。
白竿屋長兵衛が来て、堀部安兵衛を見たと述べた。

第10回「遠い春」

元禄15年春、堀内道場に丹下典膳(山本耕史)が来て堀部安兵衛(高橋和也)の消息を知りたがった、敵味方にはなりたく安兵衛を死なせたくないと言った。
吉良を恨むのは筋違いだと安兵衛に諭す典膳に、仇討ちはないと安兵衛は言うが典膳は「討ち入ってくれば、まずはそなたを斬る」と伝えた。
吉良邸では工事が進み、典膳は吉良上野介(長塚京三)に呼ばれ千春(柴本幸)は、吉良上野介侍女になり典膳のそばにいることがかない、典膳取り立ての約束をした。
不明人物が押し込み典膳が斬り捨てた。
上杉家から警護を入れて、内部の者に手筈と情報漏洩の注意をした。
堀部弥兵衛(津川雅彦)が江戸にきて上野介の顔を知っているのは自分のみと言い、吉良邸の図面の入手を堀部安兵衛に伝えた。
白竿屋長兵衛(高嶋政伸)のつなぎで典膳は安兵衛に会うが、もしもの話になった。
典膳は浅野家の考えの筋違いをただすために斬ると答え、安兵衛は世間の賞賛を受けると述べた。
上野介の荷物から絵図面が盗まれて、典膳・千春が疑われたが奥女中が犯人で、典膳は、討ち入り近いといい、春の仕官は無いと言った。
堀部弥兵衛(津川雅彦)が安兵衛に典膳を事前に討てというが迷った。

最終回(第11回)「雪の墓」

吉良邸の警護が長引き士気の低下を丹下典膳(山本耕史)は、上席家来に言うが無視され、上野介は月見の茶会を延期した。
吉良上野介(長塚京三)は、月見の茶会のため、警備強化のために増築した高塀を無粋だと壊す指示をだし、典膳は上野介に警護の事で直訴するが、茶会の取りやめを進言した理由は家来の緩みがひどいと言ったが、上野介は心の余裕が大事と述べた。
上杉家下屋敷で長尾権兵衛(辰巳琢郎)が富子(萬田久子)に茶会と、上杉家来の志気を上げるために行くと離した。
お三(ともさかりえ)が典膳に、堀部安兵衛(高橋和也)が会いたがっていると告げ、夜に会うと典膳は答えた。
茶会の夜ふけに討ち入りと決まり、堀部安兵衛は討ち入り前に典膳を討つと言った。
典膳は、浅野家の者は死に場所を得ており、千春(柴本幸)は何時までも妻と述べた。
茶会の夜、雪が降る谷中に出向いた典膳に、千春は後を追った。
安兵衛は屋敷を離れる懇願をしたが、典膳は安兵衛たち4人と刃を交わし、典膳は安兵衛に斬られた。
追いかけてきた千春は典膳の死骸を見つけ、後を追った。
夜更けに討ち入りがあった。

感想:

よく知られた話をふくませたフィクションでしょう。
ただ、忠臣蔵の部分でも本作の都合と、作者の解釈と思われる部分があるのは面白い。
退場と思ったヒロインが最後まで登場するのも、他の人物にも複数回登場するのも意外性はある。
複数の武家の考え方・生き方が描かれる。

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